(伝・奈良時代)
東南里の村はずれに、「ヒャーランさん」の通称で村人に親しまれてきた八幡神社があります。縁起として、天平10年(738年)の大洪水の折、樟の大樹に村人が救われた奇跡が語られています。
奈良時代に南里一帯が陸地化されていた可能性については疑問が残りますが、天平年間の風水災害と飢饉そして疫病の蔓延については、大宰府管内で8万人を超える流民が出たという記録があります。これは、現代の人口比に直せば200万人を超える被災者が出た大惨事ということになります。
この未曾有の凶事は永い間語り継がれ、それがヒャーランさんの縁起になったのかもしれません。「ヒャーランさん」には幼児の水難事故防止の祈りが込められていますが、二本の古い土居の交わる地点に建つこの神社は、本来、土居の鎮護を目的としていたとも考えられます。いずれも水に関わる話です。