昭和57年、300年近く守り続けられた名尾和紙「手すき技法」が佐賀県の重要無形文化財に指定されました。
名尾で1軒だけの和紙工房
松梅の名尾地区は、名尾川の清流と紙の原料となる梶の木が多く自生していることから、昭和初期まで和紙工房が100軒以上ありました。しかし、担い手の減少や機械化による大量生産紙の普及により今では1軒だけとなっています。
1軒だけ残っている「名尾手すき和紙」は、和紙の原料のひとつである梶の木の栽培から一枚の紙ができるまでの全ての工程を一貫して製作しており、これは全国でも珍しいということです。また、梶の木は長く強い繊維が絡み合って薄くても丈夫なのが特長であることから、文具や扇子などの製品をはじめ、博多祇園山笠や京都祗園祭の提灯紙にも使われるなど、日本各地の伝統行事にも深く関わりがあります。
土石流で工房と展示場を移転
実は令和3年の記録的大雨で名尾地区に土石流が発生し、「名尾手すき和紙」の工房も建物が歪むなどの被害を受け、休業を余儀なくされました。しかし、再開に向け取り組んだ結果、令和5年に現在地に工房を移転し、本年6月に新しく展示場を構えることができました。
★工房入口★工房の中★新しい展示場
★真ん中の緑の群が原材料の梶の木
梶の木は高さ2メートルぐらいで、毎年2月に枝の刈取りと皮剥ぎを行います。
★展示場入口にある梶の木