山留部落から小川内部落に上って行く部落の境目に、しめ縄が張って何かありそうな雰囲気が漂っている場所があるのだが、
実はこの場所には、ちょっと面白い呼び名のついた谷の話しがある。
マンさん落としの谷とか、まぁしゃん落としの谷とか呼ばれていて
マンさんと言う男性で、彼はこの地区に住む実在の人だったそうだ。
小川内集落であった宴席に呼ばれて出かけたマンさん。
たいそう酔っぱらっい、折り詰めの残りを手にぶら下げて気持ち良く夜道を帰ってる途中、
キツネに化かされ折り詰めを取られたあげく、谷へ転げ落ちてしまったそうだ。
この話は、この地区の人たちの間では有名な話しで、100年も経ってるか経ってないのかの
ごくごく現在に近い昔話しだと言うから面白く感じる。
マンさんが転げ落ちた場所は流れが速い小さな滝のようになっていて
綺麗な水がゴウゴウと音を立てて流れている。
マンさんがこの川の中に落ちた時は、水の冷たさに一気に酔いが覚めただろうなぁ。
また、家族に折り詰めを取られたことを、どんな顔をして言い訳しただろうか、
化かしたキツネは、折り詰めの御馳走にあやかってホクホクだっただろうなぁ。
なんて想像して楽しくなってしまった。
カーブミラー辺りから、マンさんが転げ落ちた場所だと地元の古老に教えてもらった。
ちょっと不思議な話しが残る場所。そしてこのお話しも、
書き残しておかないとキツネに包まれたように消えてしまうかもしれない。